正当化

人は誰でも自分が可愛い。当然である。だから、自分の立場が危うくなると、何とか身を守ろうとする。逆に、相手を窮地に落としいれて、自分の
安全を確保しようとする者もいる。いろいろな手段があるものである。人ができて、他の動物に出来ない芸当に「言い訳」というやるがある。自分が危うい状態にあり、その状態を何とか安全な状態へ回復するためにとる行為だが、ときにこれは実に醜い。

最近、テレビ番組を見ていて一番頭に来るのは、自分を正当化するような言い訳をするような奴である。先日、ある番組を見ていて、日本人は
常識を知らない、本当に日本人は国際人になれるのか、という趣旨で、世界の国の位置や、歴史上の人物の名前がいえない日本人たちが、槍玉に上がっていた。私はそういうのは大いに槍玉にあげるべきだと思っている。そして自分の愚かさを知って欲しいと思う。

が！彼らは言い訳をするのである。しかも、ハワイの位置がどこかも分からないような奴が、そんな知識はなくても生活できる、とか、そんなことを知っているのは頭でっかちだとか、国際人というのは心の問題だ、とかいうのである。まるで知っている方が無駄で、おかしいんだ、といわんばかりの言い草である。歴史についてもそうで、知っていても何の役にも立たない、という。国際人である前に、人間としての常識すら欠けている。そしてそのことを反省するどころか、それを正当化する。まるで知らないことが「良いこと」であるかのようにいう。

知らないなら知らないで良い。そういう人もいる。そして、知ろうという気にさえなれば誰にでも知ることのできる常識なのである。だから、知らないなら知らないなりに謙虚な姿勢であれば良いと思う。素直に、私は知りません、もし機会があれば勉強します、そんな態度であれば問題はない。

彼らは、その知ろうという努力をしないで、無知が正当なことであるかのようにいう。この態度は、いつか身を滅ぼすと思う。これは、結局、自分がやっていることは全部正しい、という思い込みである。或いは、正しくないことを知っていながら、意図的に正当化する、という発想である。おそらく、このような精神が人間の心の中にある以上、人間社会から戦争が消えることはない。

2001/02/10

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