一難去って

いつのまに梅雨は明けたのか、季節は真夏である。暑い。学生は待望の夏休みである。これが、多くの日本の社会人には地獄。ある調べによると、日本企業の夏休みの平均日数は７．４日だそうである。海外では１０日以上は当たり前、一ヶ月のバカンスなんてのもある。ああ、羨ましい。

さて、あの森内閣。新生スタートはいいが、何だかこれまで以上に冴えない様相。その発言が問題になったかと思えば、今度は既成文書の棒読み。裏の誰かに飼われている猿のごときかな。ある意味、ひた隠しになっていた政治家のやり口の裏が見えてきて、面白いといえば面白い。組閣についても、派閥の年寄りから順番に、まだ大臣を経験していないから、のような理由ものせて、とても適材適所とは思えない配置。金融再生委員長の任命などはまさにそれ。利益供与の事実があるのを知っていながら、その人物を金融機関を管理する立場に置くのはいかがなものか。その言い訳が“適材適所”とはよくいったモノである。ホントにこれだけいい話を聞かない総理大臣というのも、逆に珍しい。最初は、小渕氏の不幸があって、その穴埋め的存在として仕方ない気風があったが、再選を果たし、オリジナルの内閣をスタートしてからすこぶる人気が落ちている。しかし、それでもその政治が罷り通っているから不思議である。

では、一体誰が内閣総理大臣に適任か？今いる政治家を見渡す限り、少なくとも私が「これぞ！」と思うような政治家は見あたらない（私がいうのもおこがましいが、まぁこれは私の日記なので）。与党が駄目なら野党か。野党第一党の民主党は？鳩山氏、自民党を否定しているだけの政治家という印象しかない。管氏、考えていることは真っ当そうだが、政治面になると、やはり対自民というだけになってしまう。あなたたちは自民を叩くことが政治と思っているのですか？では、新進党なぞいかが？小沢氏は、その秘めたる力で何かやってくれそう。でも、痛みも伴いそう。ギャンブル的な人材といえなくもない。それでは社民党なぞは、土井氏も女性の味方になってくれそうだし、良さそうな感じ？でも、いってることはあまり魅力がない（少なくとも私には）。そろそろ共産党なども？不破氏の言ってることは確かにしっかりしてる。信念もある。多分、数ある政党の中で一番しっかりしているのは、この共産党ではなかろうか。ただ、そのしっかりした信念が、私には合わない。そして、おそらく日本の風土にもあまり適さない。世の中そんなものなのか。

結局、一番経験があり、保守的で、帳尻合わせの方法をよく知っている自民党が日本国民の思想に一番合致しているのだろう。とにかく、日本人は社会が平凡であることを願っている。そうであって、個人が自分の好きなこと好きなだけやれるというもの。結構、今のようなドロドロした不明瞭な状態の方が、日本人に誂え向きなのかもしれない。そういえば江戸時代、松平定信というしっかり者の政治家がいたそうな。彼は、「寛政の改革」で、民衆には倹約を奨励したり、食料の備蓄に勤めたり、出版に規制をかけたり、さまざまな厳しい政治改革を執り行った。民衆はこれに参ってしまい、前の家老、田沼意次の怠惰な政治を惜しんだという‥‥。

最近、自民党内部でも、長老達に刃向かう若手が集結しつつあるようである。あれが自民を立たせるためのフェイクであるにしろ、本当に彼らが自民の筆頭に立つようなことになれば、それはそれで面白そうである。特に、田中真紀子氏。たいそうな信念はなさそうだが、年寄り攻撃だけは一級品だ。あれをブルドーザのプレートにして、次々と後ろの若手が進出してくれば、政治にまた別の風が吹くかも知れない。

ところで、そうした若手が奮い立たねばならぬ、と実感し行動を起こさせるまでにだらしない執行部というのは、もしこれが森氏（或いは周囲の誰か）の確信犯であったとしたら、氏もなかなか侮れない。

2000/08/02

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